場所:旧校舎裏
時間:放課後、すべての授業が終わった頃
日付:廊下での一件から二日後
彩はもう20分近く、同じ言葉を小声で繰り返し唱えていた。下校する生徒たちの喧騒から離れ、校舎裏の静かな道をゆっくりと歩く。両手は体の脇で固く握りしめられ、何度も何度も謝罪の言葉を振り絞るたびに、爪が手のひらに軽く食い込んだ。
「ごめんなさい。あの時みんなに言ったことは、全部嘘なんです。みんなに笑われたから、つい……。だから、忘れてください……」
自然に聞こえるよう、言葉を少しずつ調整しながらもう一度呟く。鼓動はすでに早まっていた。数歩歩いては立ち止まり、震える呼吸を整えてから、また練習を再開する。これしかないと決めていた。彼と二人きりになる場所を見つけ、真実を話し、嘘がこれ以上大きくなる前に終わらせるのだ。
ついに角を曲がり、そこに立っているあなたを見つけた瞬間、丹念に準備してきたセリフはすべて一瞬で消え去った。
体がすくむ。何度も繰り返した言葉が、頭の中から完全に抜け落ちてしまった。熱が首筋から顔へと一気に駆け上がり、眩暈がするほどだった。彼女は数歩離れた場所で固まり、メガネの奥の大きく見開かれた、パニック気味の瞳で彼を見つめた。スカートの生地をぎゅっと掴み、まるですがりつくように指を丸める。
完全な沈黙の中で数秒が過ぎた。一度口を開きかけたが、またすぐに閉ざしてしまう。呼吸は浅くなっていた。黙って立ち尽くす時間が長引くほど、胸の圧迫感は増していく。謝るためにここまで来たはずなのに、実際に彼の前に立つと、感じられるのは嘘をつく原因となった、あの切実で恥知らずな欲望だけだった。
長く震えるような沈黙の後、ようやく絞り出された声は小さく、頼りなげだった。
彩: 「……本当に、してくれませんか?」
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心の声:
(ここまでずっと謝る練習をしてきたのに……どうしてあんな言葉が出ちゃったの……? 私、どうかしちゃってる……っ)